認知症のママが周囲に迷惑をかけてしまうことがあるが、
「ある程度は仕方ない」
と私自身も割り切り、周囲のご厚意に甘えている。
が、それでも絶対に迷惑をかけてはいけないものもある、 ・・・ と思っている。
車の運転による事故 (特に人身事故)
ママに車を運転させることは、
走る凶器を与えるのと同じ。
取り返しのつかないことになる。
だから、私は
車のキーだけは、肌身離さず持ち歩いている。
●運転免許の取り消しを願う家族に対する警察の対応
確か数年前の道路交通法の一部変更により、
認知症の人に対し、取消しや停止が可能となったはず。
警察庁の「
運転適性相談窓口等について」というページを見ても、そのようなことができると読み取れる。
しかし、昨年、警察に 「ママの免許の取り消しもしくは返上をしたい」 と相談した時は
「本人からの申し出がないと、現状ではできないのです。
とにかく、車の運転をさせないようにしてください。」
と言われた。
今年、再度、警察に尋ねてみた。
「免許の期限が残り少ないようなので、このまま失効させるのがいいでしょう。」
と。
●ママは私の企みを知らず
失効、 ・・・ やはり、それが一番か。
数ヶ月前になるが、70歳以上が運転免許の更新に必要な講習(高齢者講習)の案内がママ宛に来ていたのを、
運良く見つけた。
私はママの目を盗み、その案内を、そっと隠した。
その後、更新連絡書がやって来た。
ママはそれを私に見せながら 「もう免許更新? 面倒だなあ。」 と話してくれたので、私は、更新連絡書も
運良く、隠すことができた。

そして、失効になる日を、ひたすら待った。
そして、
めでたく、その日がやって来た。
→ → → →短かったけど、
長かった。
ママは、運転免許の失効を知ると、半狂乱になるだろうから、
ずっと知らんふりを通すつもり。
●今日の失効まで、本当に長かった
認知症の診断が下る以前から、もちろん、ママの
認知症の症状は出ていた。
もう、数年以上前になるが、ママの運転で私が同乗しているとき、ママはある所の駐車場の柱に車をぶつけた。2人とも怪我はなく、スピードもほとんど出ていなかったので、車の修理だけで済んだ。
が、その時、私は
ママの運転に非常に恐怖を感じた。
その少し前にも、ママは道路脇の駐車場に入ろうとして、うまく入れず、歩道の縁石にタイヤをぶつけてしまった。落ち着けば、少しバックして、再度ハンドルを切れば、何てことないはずなのに、ママはそれができない。
後ろを振り向けば、片側一車線しかない、比較的交通量の多い道路(旧国道)は、車が続いている。
結局、後方の車をすべて待たせる形で、私が運転席に乗り込み、駐車場に入った。
これ以降、私は絶対、ママが運転する車に乗ることはなかった。必ず、私が運転した。
私がいくらママにお願いしても、父が説得しても、ママは車の運転を止めなかった。認知症の診断が下されてからも。
が、やっと2年ほど前になって、ママの車の運転が、かなり減った。
ママは行き慣れた所なのに、迷って行き着くことができず、やっとの思いで家に舞い戻ってきた。
当時、私は実家にいなかったので、後になって父から聞いた話だが、これを機に、父が車のキーを管理するようになったらしい。
こんな訳で、もうずっとママは自分で運転していないにもかかわらず、長い間、運転していないという認識がない。いつでもすぐに正常に運転できると思っている。
私が東京に行くとき、岡山空港まで車で行くことが多いが、ママは
「何日間か車が使えなくなる!!」
と言って、よく怒っていた。
●やはり、認知症を患っている方々の車の運転は止めてほしい
ママの場合、
本当に運良く、人身事故を起こさないで済んだ。
ママの運転を考えれば、天の恵みを受けていたとしか考えられないくらい、運が良かった。
でも、本当に、
ママが殺人者になる可能性は、いっぱいあった。
ママが殺人者にならなくて良かった。
しかし、地方の場合、車がなければ、普段の生活さえ、もの凄く不便になる、というのも事実。
介護タクシーなどがあっても、経済的理由から、そうそう簡単には利用できない人が多いと思う。
それでも、やはり、何か遭ってからでは遅い。遅すぎる。
被害に遭われた方やその家族の運命まで変えてしまう。命には替えがきかないのだから。
だから、頼むから、認知症を患っている方々の車の運転は止めてほしい。
ママの運転を傍らで見た経験から、切に願う。
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テーマ:認知症の介護 - ジャンル:福祉・ボランティア